2015-08-27

『ファンタスティック・フォー』はなにが失敗だったのか

新作リメイクとして誕生した『ファンタスティック・フォー』を見てきた。IMdbが4、Rotten Tomatoesが8%というかなり酷いスコアの映画で、むしろこれは見ておかねばなるまいか……という謎の義務感に駆られたので。

で、見たすぐの感想としては……別にそんな酷くないですよ。いわゆる「地雷」のような強烈な駄作のようなものではまったくない。ちゃんとお金のかかった普通のハリウッド映画。

ただ、たいして面白くはない。そんなに酷いスコアになるほどではないとは思うが、確かに高いスコアにはならなさそう……。

で、見た後でIMdbのレビューなどを読んでみると、なるほどな、という感じがした。この映画はいろんな部分で小さな問題を抱えていて、いろんな人がいろんな部分で「ここはちょっと……」と思ったりする。だから高いスコアをつける人が少ないわけだ。

ダメな作品でも、いやそうであればこそごく一部の人は受け入れて評価が割れるということは、まああると思うのだけど(『ピクセル』とか、10点と1点ばっかりで平均スコアが5くらいという極端な事例もある)、この映画は高い評価をする人がいない。結果としてレビューサイトの評価としては最低最悪になってしまう。なるほどなぁと思いました。

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レビュアーが問題点として挙げている点を(個人的にはあまりどうでもよいところから個人的に大事だと思ったところの順に)挙げていこう。

1. 設定変更

『ファンタスティック・フォー』の原作はアメコミなんだけど、今回の映画はかなり設定が違う。原作では宇宙に出ているときに超常能力を得るのだけど、これは異次元世界へ移動する機械になっている。

メインの4人の設定がかなり違う。比較的年のいった天才科学者だったリードは学生になっており、ヒューマン・トーチが黒人に設定変更。そのためスー(本来はヒューマン・トーチと兄弟)は養子という設定が足されている。ベンはリードの子供の頃からの親友で、気弱なナードのような感じになっている。

どうでもいいけどリードが最初はメガネ男子だったのに超常能力を得てから何の説明もなくメガネしなくなったのはなんなのか。

2. 役者・配役の問題

設定変更にも関係しているけれど、4人の役者は原作のイメージとかなり違う。役者たちはそれほど悪くはない気がするけれど、なんでこんなイメージと違う人に……ってのはある。個人的にも、ベンはなんであんなひょろいナードだったのかなぁ、というのはよくわからない。

3. アクションの弱さ

アクションは悪くはないと思うんだけど、全般的にあっさりしていて短い。アクションを期待する向きにはつらい気がする。

4. ストーリー構成の難

アクションシーンが短いのだけど、どうも他のシーンが効果的でない気がする。こういうヒーローもののオリジンストーリーでは、ヒーローになる前の展開はその後の伏線になっているものだ。この映画でも、リードとスーの恋愛に発展しそうな展開や、リードとベンの関係、スーとジョニーの姉弟関係などが描かれるのだけど、それが後半の展開に生きてこない。せめてリードとベンはもう少しはっきりと和解を描かないとダメでは……。それにリードとスーの関係はドゥームも関係しているのに、そこがはっきりしないからドゥームの悪役としてのキャラ立てもあまり効いてこない。

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まあ、ただ、結論としてはあんまり見る価値ない映画だと思いますよ。なかったことになりそう。