2014-10-23

『The Flash』超高速スーパーヒーロー

http://www.ctv.ca/TheFlash/Articles/News/the_flash_heart_humour_heroes.aspx
昨日につづいて、今日は『The Flash』です。フラッシュという、どちらかといえばマイナーなヒーローを主人公にしたドラマシリーズです。

フラッシュはバットマンとかスーパーマンとかの所属するDCコミックスの世界のヒーローで(ちなみにアイアンマンとかスパイダーマンとかアヴェンジャーズはマーヴェル・コミックス)、特殊能力は超高速移動。

第1話はいわゆるオリジンストーリーで、主人公のバリー・アレンが超能力を獲得し、ヒーローとして活躍するまでを描いています。バリー・アレンは警察で鑑識の仕事をしています。物語は、銀行強盗の痕跡から車種を特定し、捜査に貢献するところから始まります。

なぜか街の中心地で実施された粒子衝突実験が暴走、実験施設は崩れ落ち、街のあちこちにも被害が出ます。主人公も雷に打たれ、9ヶ月間昏睡状態に陥りますが、奇跡的に目覚めます。そしてそれから、超スピード能力を獲得してしまった、という設定です。

そんなころ、ふたたび銀行強盗が街を荒らし始めていました。ここでの不可解な点はふたつ。目撃証言からあぶりだされる強盗の人相は冒頭の捜査で追い詰めた犯人と同じものなのですが、そいつはセスナで逃亡を企てた瞬間に実験の暴走が起こり、雷に打たれて墜死していたはずだということ。それから強盗の際に突発的に嵐に襲われるという幸運が何度も起きていること。

まあ皆さんもおわかりのように、この犯人も雷の影響で天候を操る能力を獲得してしまったというわけです。おそらく実験の影響で、特殊能力を獲得してしまった人々が街にあらわれはじめてしまった、というのが基本設定になります。第1話では、最後は大嵐によって街を破壊しようと目論む敵に対して、超スピードで逆走して嵐のパワーを打ち消し(?)敵をやっつけてました。

……といったヒーローの物語を縦軸にしつつ、いっぽうで主人公の設定とキャラクター同士の人間関係が横軸として配置されています。

ひとつには、幼いころ怪現象によって母を亡くし、怪現象の説明がつけられないまま父は犯人として投獄、という過去があります。だがもしその怪現象も、フラッシュのような特殊能力を持つ者の犯行であれば説明がつく……。

さらに父の投獄によって引き取られた刑事のジョー・ウェストと親密につきあい、その娘のアイリスとは恋人だったんですが、9ヶ月の昏睡状態の間に関係が疎遠になり、友達でもあった他の刑事に奪われる……といったストーリー。さらにバリーを9ヶ月間保護し、また実験施設の跡地で研究を続けていた博士がバックアップ組織としてフラッシュの活動を支援することになるようですが、この博士もまたなにか企んでいる様子、と、いろいろてんこもりな感じです。

超スピード、と聞くといまひとつ地味な気もしていて、それだけで1シーズンもつようなストーリーのバリエーションがあるものなのだろうか、と思ったんですが、超スピードにかこつけていろんなサブ能力もあるようなので(原作では分子透過能力とかもあるようです)、そうでもないのかも。第1話はヒーローのオリジンストーリーとしてはなかなか良いかんじです。こっちでの視聴者の評判はわりと高いようです。

ところで超能力に悩んだ主人公がなぜか唐突にグリーンアロー(アヴェンジャーズのホークアイみたいな、弓矢の達人なヒーロー)のところに相談にいくくだりがあって首をひねっていたんですが、どうも『Arrow』というタイトルのグリーンアローを主人公にしたドラマが好評で、本作はそのスピンオフらしいですね。そっちも見てみなければ……。

2014-10-22

『GOTHAM』バットマンの世界を舞台にしたハードボイルド

始まってたことに気づいてなかった『GOTHAM』をいまごろ見ました。映画シリーズなどで日本でもおなじみの『バットマン』の世界観を舞台にしたドラマです。

バットマンといえば、幼いころに両親が強盗によって殺されたトラウマから犯罪を憎み、また心身を鍛え、長じて両親の遺産を継いだブルース・ウェインがコスチュームをまとって犯罪都市ゴッサム・シティの犯罪者たちと戦う、といったものが基本設定。このバットマンの味方として出てくるレギュラーキャラクターが幾人かいますが、そのうちの一人が、ゴッサム市警の本部長であるジム・ゴードンという人です。最近の映画ではゲイリー・オールドマンがやっているので、その印象が強いですね。

このドラマは、そのゴードンの若かりし頃を描いています。物語の出だしは、まさにブルース・ウェインの両親が襲われるという強盗殺人事件。まだ駆け出しの刑事であるゴードンはこの事件の担当となり、捜査を始めることになります。

とりあえずまだ第1話しか見てませんが、ウェイン殺しの犯人と目される人物を見つけ出し、追い詰めたところで逆襲され射殺することになるのですが、後に濡れ衣であることがわかってくる。しかもいろいろ不審な点が出てきた。どうやら裏には陰謀が隠れているようだ……とまあそういう感じのハードボイルドな出だしで、なかなか良いと思います。

ただちょっとハイコンテキストすぎる気がするので、日本では受けないかもなあという不安も。第1話でもすでに、バットマンの定番の敵キャラの若かりし頃の姿、というのがチラ見せ状態で登場するんですが、「ああコイツそういうことなのか」というのは、ふつうわかるもんなのかな、アメリカでも……。後のペンギンはギャングの下っ端だし、後のリドラーは警察の鑑識、後のキャットウーマンらしき女性は街でスリを働いていますが第1話では思わせぶりに出てくるだけでセリフはなし。などなど……。そんで、ジョーカーのようなメジャーなキャラクターは(まだ)出てきていません。ちなみにゴードンとコンビを組むのはハーヴェイ・ブロック

ま、個人的には面白く見ているのでとりあえず継続視聴予定です。

2014-10-06

@Scale conf 2014 web track: RxJS、flow型チェック、wikipediaとPHPなど

Facebookが主催する@Scale conferenceというカンファレンスが少し前にやってまして、そのビデオがYouTubeで公開されてます。Data、Mobile、Webというみっつのトラックがあって、それぞれプレイリストになってます。とりあえずWeb trackをざっと眺めたなかで個人的に面白いとおもったものを。

Asynchronous Programming at Netflix

非同期プログラミング、というタイトルでRxJS (Reactive Extension for JavaScript)の解説。語り口も明確だし、これは面白かった。イベントソースを非同期なコレクションとみなして、forEachやmapなどを駆使すると綺麗に書けますよ、Netflixではもう使ってます、というもの。

もともとReactive ExtensionはMS発祥のテクノロジーで、C#などではLINQとうまく統合しているみたいなんだけど、JSの場合は関数をチェインさせる。スピーカーはMSからNetflixに移った人らしい。チュートリアルもわかりやすく(前半はふつうの関数プログラミングのはなしなのでだるいが)、なかなか興味深い内容だった。

JavaScript Testing and Static Type Systems at Scale

前半はJSのモジュールの話とテストの話。あんまり真面目に聴いてないけど、ものすごい目新しい話ではなかったと思う。が、後半のFlowっていう型チェッカはちょっと面白かった。

JSに型チェックを入れるってのは、いくつか実例はあって、Closure Compilerとか、TypeScriptとか。ただ、Flowの型チェックがすごいのは、構文解析をしてJSコードの型チェックを理解して的確に間違いを検出する。プレゼンの例だと、
function size(input) {
  if (input != null) {
    return input.length;
  }  return 0;
}
とか、
function size(input: string | Array<string>): number {
  if (typeof input == "string") {
    return input.length;
  } else {
    for (var i = 0, sum = 0; i < input.length; i++) {
      sum += input[i].length;
    }
    return sum;
  }
}
とかを正しく型チェックできる……らしい。今年中にオープンソースにするってさ。

Migrating Wikipedia to HHVM

HHVMはFacebookがリリースしたPHPとHackっていう新言語用のVMで、WikipediaのPHPをHHVMに移行してパフォーマンスを改善させたっていう話。これは正直、HHVMがどんなもんで、どういう特性があって、みたいな技術的な側面を期待してたら、そのへんはあんまり言及がなくて肩透かし。ふつうにHHVMにしたら速くなりました、という感じ。

ただ興味深かったのは、なぜWikipediaがPHPのパフォーマンスを気にしないといけないか、ってこと。WikipediaはVarnishをつかってキャッシュをしていて、静的ページはかなりキャッシュにヒットする。PHPでなにをどうしようが、95%のリクエストには全く何の影響もない。ではなぜ、PHPのことを気にする必要があるのか?

PHPが影響するのは、キャッシュがきかない部分だ。たとえばページ編集時のプレビューはキャッシュできないから、PHPでパーズするしかないが、非常に多岐にわたる複雑な拡張機能のためにパーズはめちゃくちゃ遅くなるらしい。バラク・オバマの(英語の)ページで実験してたけど、旧来の普通のVMだとページ生成に20秒ぐらいかかるという。HHVMにしてみたらなんと6秒! いやそれでも遅いと思うけどね……。

また、Wikipediaではログインユーザのほうが平均的に遅くなる傾向があるという。

ようするに、Wikipediaに対する貢献度が高い、いわばプライオリティユーザーにむしろペナルティを与えてしまっている現状なのだ、と言う。だから、割合としては少なくても、きちんと気にしないといけないのだ、ということだそうです。

いじょ。mobileとdataのトラックも、まあヒマがあったら見てみます。

2014-10-05

9月に読んだまんがから




適当にピックアップ。

『ハイキュー!!』は11巻12巻が同時発売。

相変わらず面白いんだが……なんかちょっとポエミーなところが鼻についてきた。なんというかこう、なんといえばいいんだろうね。ダメだけど一生懸命がんばるのってかっこ悪くないよ、という価値観を強く推したい印象があるのだけど、その価値観自体はいいんだけど、なんかこの作品での扱われ方は少しもにょる。画力や迫力でなんとなくごまかされてきたが、ちょっと変じゃないか?というところがある。

石黒正数『木曜日のフルット』[4]

相変わらずな感じなんだが、読んで満足もするのだが、冷静になって考えてみると何が面白いのかよくわからない回がある。何が面白いというか、なにがなんだかよくわからない……面白いんだろうかこれ……と混乱する。勇者の話とか、寝てる間に入れ替わるのをビデオで調べる話とか。なんなんだろうこのまんが。あと毎回の「〜ション」とフィクションをかけたネタが続かなくなったらどうなるのか気になる。あれって編集が考えてるんだろうか? ネタ切れになって困り果てたりしないのだろうか……。

ぢゅん子『私がモテてどうすんだ』[4]

これはびっくりするほどつまらなくなっていて驚いた。3巻でリバウンドして復帰しておしまい、って終わらせるほうがすっきりまとまっていたのでは。ただ実際のところ、主な読者は女性で、続ける以上は登場している男の子のキャラをきちんと描くという展開になっていくが、自分はこういう展開にまったく興味がないというところと思われ……アマゾンレビューでは主な読者層はこれで満足しているようなので、ミスマッチということでここらで諦めるのがたぶん正解。

森薫『シャーリー』[2]

良かった。一冊目のシャーリーのころの絵柄も良いと思うけど、このごろの森薫は描き込みがものすごく、でもなんだかその執念的なものをあまり見せず軽々と見せているのが良いなあと思う。個人的に良かったのは忘れ物を届けに行くエピソード。元彼氏と会う話について、あとがきで「おとしまえをつけておいたほうがいいかなと思い」って言ってて何のことかまったく思い出せず一冊目を買い直してしまったよ(それで読みなおしたが、シャーリーも良いけどイタズラ好きの旦那様の話がとても好きだなあと再確認したのだった)。

高野苺『orange』[1-3]

高校の入学式の日に、10年後の自分を名乗る人間から手紙が来て……という展開の少女漫画。転校生の男の子が1年後に死ぬことになるという未来から救ってほしい、という内容の手紙から未来を変えるべく頑張る。いかにも少女漫画的な些細なことでうまくいかなかったり悩んだりで、おいおいそんなんで大丈夫なのかと思ったりするが、まあそこがリアルなのかもしれない。SF的には面白さはないが、少女漫画的には悪くない。

渡辺カナ『ステラとミルフイユ』[1]

この人は『花と落雷』はあんまり面白いと思わなかったのだが、こころみにほかの短篇集(『ぼくらのゆくえは』『マシカクロック』)を読んでみたらなかなかよかったので買ってみた。親に反発してボロアパートで一人暮らしを始めた高校生と住人たちのはなし。タイトルの意味はよくわかりません。

絵がすごく綺麗なのも良いけど、ちょっとひねて闇を背負っちゃってるかんじの主人公……を生暖かく見守る周囲のひとたちの描写などはなかなかよいと思う。継続。

登場人物は『ぼくらのゆくえは』と一部かぶってる。

あと『なんて素敵にジャパネスク』の漫画版(結婚までを描いた1-6巻)を読んだ。

ちょっと少女漫画成分おおめの月だったかなあ。