2013-04-07

『アースワン』 スーパーヒーローのストーリーをひねった現代的なシリーズ

http://d.hatena.ne.jp/ShisyoTsukasa/20130330 を読んで興味を持って読みました。英語版で。スーパーマンとバットマンというDCのスーパーヒーローのストーリーを現代を舞台に移し替え、いかようにしてヒーローになったか、というオリジンから語り起こした番外編シリーズです。これがなかなか面白かった。

スーパーマン』のほうは、日本語版は1巻のみですが、英語では2巻まで出ています。

このシリーズでのスーパーマンは、ほんとうになんでもできてしまう超人的な能力を持ちつつ、この能力で何をなすべきなのかわからない、という悩める若者として設定されています。そうして虚しさに絶望していたとき、宇宙からの侵略軍によって地球の危機が!という展開。まぁわかりやすいっちゃわかりやすいんですが、このシーンはやはり盛り上がると言わざるをえないところでしょう。カッコイイすわ。

1巻のラストでクラーク・ケントとしてデイリープラネット社に入社したわけで、2巻は、まあふつうのはなしな気がする。ロイス・レーンがクラークを怪しんで身辺調査をしたり、スーパーマンが飛来したときの宇宙船の遺骸を研究していた軍部がいろいろ画策したり、レックス・ルーサーが出てきたり……。

一方のバットマンのほうは、オリジンが設定と密接に結びついているため、ここは変わりません。富豪の両親がチンピラに殺され孤児となったブルース・ウェインは、執事のアルフレッドのもとで育ち、鍛錬を積み、独自の装備によって犯罪と戦うバットマンになる……という例のアレです。

しかし、憎しみに凝り固まっているため、このバットマンはふるわない。ちょっといたたまれないレベルで失敗を繰り返します(ビルから落ちたりとか)。また、「犯罪とたたかう」というよりは、腐敗した市長によって暗殺されたとおぼしき両親の死の真相にせまることのみを考えるといった、若く未成熟なバットマンが描かれます。

が、本作の真骨頂はむしろアルフレッド。ふつうバットマンのアルフレッドといえば、ブルースを陰ながら支える物静かなサポーターといった役回りです(まさにマイケル・ケインとかがよく似合う)。ところが本書のアルフレッドは、ブルースの父親とはただごとならない因縁をもち、おそらく傭兵のような稼業をしてきた(security firmの経験があるというので)、という経歴を持ちます。キャラクターとしても強靭かつ実践的で、ブルースを叱咤するといった、かなり独特のキャラクター設定です。銃を持たずにでようとするブルースに銃を持つべきだと説教するシーンや、バットマンのコスチュームを stupid bat costumeだのuseless capeだのいい放つシーンなど、「バットマンでそれ言っちゃおしまいよ」的なセリフをさらりと言ってのけるシーンが印象的(にしても、You do it, you do it properlyなる発言がアメリカンだなーと思ったり)。

ほかにも、バットマンを知っていればいろいろ今後の気になるキャラクターがいっぱい出てきて、これはなかなか良いものだなあと思うのですが、ただ全般的にはファン向けといった印象かもしれません。

というわけで、なんですかね、マン・オブ・スティールたのしみですね。