Andy Weir "The Martian" を読んだけど、たいそう面白かった。
NASAによる人類初の有人火星計画「アーレス」。その3回めのミッションに参加したマーク・ワトニーは、ミッション6日目にして人生最悪の日を迎える。
その日、探査ミッションを嵐が襲ったのだ。風速は想定を越え、危険が伴ったため、ミッションは中断。クルーは全員で火星を脱出し、地球に帰還することになった。
マークを除いて。
嵐のさなか、マークは事故に遭って姿が見えなくなり、通信が途絶してしまっていた。バイタルサインも失われた。死んだのだ、と誰もが思った。だが生きていたのだ、すくなくとも6日目に死んだりはしていなかった。ひとり取り残されたマークのもとにあるのは、残った基地の設備と、放棄された糧食のみ。設備が壊れたら死ぬし、糧食を食べ尽くしても餓死。地球や他のクルーへの通信手段もない。誰にも気づかれないまま、マークは決死のサバイバルを開始するが……。
といったあらすじ。
物語は、このマークが書き残したという日誌という形式で始まる。その後はちょっといろいろあるけれど、大部分は彼の視点で、しかも1日の終わりに書いた日誌というかたちで物事が記述されていく。
これが面白い。食料はどう確保するか? そもそも、どうやったら生き延びられるのか? 基本的には、次の計画である「アーレス4」の予定は決まっているので、そのときまで生き延びられ、彼らとコンタクトが取れれば生還できる。だがどうやって? しかも、アーレス4の着地予定地点まではかなり離れていて、そこまでたどり着くことすら至難の業に思える。
状況は刻々と変化する。トラブルも次々に起こる。しかも、一息ついたらまたデブリが飛んでくる、みたいな一本調子なトラブルではなく、状況の変化に応じて多彩な問題が起こり、それを様々な方法で解決していくので、読んでいて飽きさせない。
少しネタを割ると、地球側の描写も序盤を少し過ぎたぐらいから入ってくる。火星探査用の人工衛星はあるので、それで撮影した衛星写真から、マークがどうやら生きているらしい、ということはわかるのだ。だが、地球からもコンタクトする手段はない。したがって地球側としても見ているよりほかにはやりようはなく、とにかくアーレス4の計画を早めるしかない。だが、間に合わないのではないか。そもそも予定より早めて問題はないのか……。
などなど。
作者のAndy Weirは、一言で言うと宇宙マニアみたいな人らしく、本作ははじめて書いたデビュー作。というか、実は2011年に自費出版していたものの再販ということらしい。作中の描写やトラブルの内容などは、したがって非常にリアル。非常にリアルだが地味ではなくて、主人公はほんとにそれ死ぬだろ……みたいなすごいトラブルに遭遇しまくる。
こういう宇宙ネタやサバイバルものって日本でもウケは良いと思うので、どこか翻訳したら良いんじゃないでしょうか、と思いました。
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