コンピュータの仕事をしていたらだれでも知ってる数学者のアラン・チューリング、その生涯のうち、とくに第二次大戦中にドイツのエニグマ暗号をやぶったくだりを中心に描いた映画。ベネディクト・カンバーバッチ主演。あんまし情報ないので日本上映は先なのかな、と思ったらトレイラーもありました。
映画はみっつの時代を行き来する。映画は1950年にはじまる。マンチェスター大学に赴任していたチューリングのもとに警察が訪れる。チューリングは軍籍があったが、その軍歴は極秘でありうかがい知ることはできない……。
そして時代は1940年、チューリングが「ラジオ工場」に赴任し、ナチスドイツの暗号分析にはいる。同僚は名だたる数学者やチェスチャンピオン。傍受した暗号の解読にいそしんでいたチームだったが、チューリングはまったく別のアイデアを構想する。暗号解読機械を構築し、人手を介さずに瞬時にして暗号を解くのだ。
最後は1920年代末、チューリングの少年時代。いじめられがちだったチューリングだったが、クリストファーという親友ができ、本で読んで覚えたばかりの暗号(映画ではよくわからないがおそらく単純なシーザー暗号)でメッセージをやりとりするようになる。同性愛者であったチューリングにとって、クリストファーへの思いはある種の恋愛感情をもったものであることが示唆される。
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映画にはふたつのテーマが隠されている。
ひとつは暗号解読チームの成功物語だ。
チューリングの同僚たちはプライドも高く、はじめはチューリングのやり方に納得できずに去ってしまう。やがて和解し、一丸となって機械の構築に挑むが、機械はなかなか動かない。どうしても最後の一手に欠ける。いっぽう、なかなか成果の出ないままわけのわからない機械を作っているチューリングに業を煮やした将軍は強制的に停止しようとするが……。
チームものとしてはおあつらえ向きの展開だ。はじめは対立するがやがて和解するのはチェスチャンピオンでもあるヒュー・アレクサンダー。対立して去ってしまった人手を埋めるために採用した女性、ジョーン・クラークとチューリングは親密さを増していき、あるときチューリングはジョーンに求婚するまでになる(この辺、実在の人物なのかよくわからんな……と見ながら思ってたのだが主要登場人物はちゃんと実在だし、チューリングが求婚したのも本当のことらしい。知らなかった)。
だがチューリングを語る上で大事なもうひとつの軸は、彼が同性愛者だということであり、1950年台の物語も、20年台の物語も、そちらが主要なテーマとなる。そして彼が同性愛者だということ(そして当時のイギリスではそれは違法だということ)は物語に深刻な影を落とし始める。
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よくできた映画だと思う。
チームの成功物語としてもなかなかよくできているし、何かあるとしどろもどろになってしまうしコミュ障にもほどがあるチューリングもキャラが立っている(しかし、あんなわかりやすくコミュ障な人だったんだろうか。序盤のランチのくだりは笑ってしまった)。
構築したマシンのかっこよさも格別で、ついに解析に成功して機械が停止するシーンとかも良いかんじ。
でもそういう脳天気な話にはならない。戦時下の厳しさ、チューリングの性的傾向の問題、スパイ嫌疑の問題などが重くのしかかる。そんななか、ジョーンとの友情とも愛情ともつかない不思議な関係の描写も面白い。
タイトルの "imitation game" というのは、直接的には作中で語られるチューリングテストのことだ。機械による人間の模倣のゲーム。だがそれは同時に暗号のモノマネでもあるし、同性愛者が異性愛者のふりをすることでもあるように思われる。ほとんど社会不適合者なチューリングが頑張って普通の人のふりをすることでもあるだろう。
まあ見ると良いと思いますよ。
そして時代は1940年、チューリングが「ラジオ工場」に赴任し、ナチスドイツの暗号分析にはいる。同僚は名だたる数学者やチェスチャンピオン。傍受した暗号の解読にいそしんでいたチームだったが、チューリングはまったく別のアイデアを構想する。暗号解読機械を構築し、人手を介さずに瞬時にして暗号を解くのだ。
最後は1920年代末、チューリングの少年時代。いじめられがちだったチューリングだったが、クリストファーという親友ができ、本で読んで覚えたばかりの暗号(映画ではよくわからないがおそらく単純なシーザー暗号)でメッセージをやりとりするようになる。同性愛者であったチューリングにとって、クリストファーへの思いはある種の恋愛感情をもったものであることが示唆される。
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映画にはふたつのテーマが隠されている。
ひとつは暗号解読チームの成功物語だ。
チューリングの同僚たちはプライドも高く、はじめはチューリングのやり方に納得できずに去ってしまう。やがて和解し、一丸となって機械の構築に挑むが、機械はなかなか動かない。どうしても最後の一手に欠ける。いっぽう、なかなか成果の出ないままわけのわからない機械を作っているチューリングに業を煮やした将軍は強制的に停止しようとするが……。
チームものとしてはおあつらえ向きの展開だ。はじめは対立するがやがて和解するのはチェスチャンピオンでもあるヒュー・アレクサンダー。対立して去ってしまった人手を埋めるために採用した女性、ジョーン・クラークとチューリングは親密さを増していき、あるときチューリングはジョーンに求婚するまでになる(この辺、実在の人物なのかよくわからんな……と見ながら思ってたのだが主要登場人物はちゃんと実在だし、チューリングが求婚したのも本当のことらしい。知らなかった)。
だがチューリングを語る上で大事なもうひとつの軸は、彼が同性愛者だということであり、1950年台の物語も、20年台の物語も、そちらが主要なテーマとなる。そして彼が同性愛者だということ(そして当時のイギリスではそれは違法だということ)は物語に深刻な影を落とし始める。
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よくできた映画だと思う。
チームの成功物語としてもなかなかよくできているし、何かあるとしどろもどろになってしまうしコミュ障にもほどがあるチューリングもキャラが立っている(しかし、あんなわかりやすくコミュ障な人だったんだろうか。序盤のランチのくだりは笑ってしまった)。
構築したマシンのかっこよさも格別で、ついに解析に成功して機械が停止するシーンとかも良いかんじ。
でもそういう脳天気な話にはならない。戦時下の厳しさ、チューリングの性的傾向の問題、スパイ嫌疑の問題などが重くのしかかる。そんななか、ジョーンとの友情とも愛情ともつかない不思議な関係の描写も面白い。
タイトルの "imitation game" というのは、直接的には作中で語られるチューリングテストのことだ。機械による人間の模倣のゲーム。だがそれは同時に暗号のモノマネでもあるし、同性愛者が異性愛者のふりをすることでもあるように思われる。ほとんど社会不適合者なチューリングが頑張って普通の人のふりをすることでもあるだろう。
まあ見ると良いと思いますよ。
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