2014-01-19

天冥の標 7 新世界ハーブC



天冥の標7 新世界ハーブC

これは……「ギャルナフカの迷宮」?

前巻で「救世群」に追い立てられて主人公たちが逃げ込んだ先、その閉鎖世界のなかでどうにかあがいて生き延びていくという物語であり、ようやく1巻に続く設定が明かされることになるという7巻でした。閉鎖世界で生き延びるうちに国を作り上げていくというのは同作者の「ギャルナフカの迷宮」(『老ヴォールの惑星』所収)を思わせるところがあるなーとも思うんですが、いや、やっぱりそれなりに成熟した少数の大人で構成されていたギャルナフカとは違いますね。主に少年少女で構成される世界をスカウトたちがなんとか仕切ろうとして、けっきょくのところリソース不足からだんだんぐだぐだになっていくという流れは、なんというか、ため息しか出てこない。

それでいて物凄く嫌な話にはなっていないのがうまいところ。この手の話でわりと適当にごまかしがちな性愛の問題を、SF的な理屈をつけることでひとまず落ち着かせておいて物語を進めるところもうまいといえばうまい。

メニー・メニー・シープの正体については、それほど意外感はないというか、まあこんなところでしょうという印象が半分ぐらいなのだけれど、この巻で描かれる閉塞感と1巻の開放感のある感覚とはちょっとかけ離れすぎというか、やっぱりこう、ギャップが大きいようにも思える。小川一水本人自体の力量が7巻まで進むうちに上がってしまっているのも一因という気がするけれど。

しかしここから300年というのはちょっと盛りすぎたんじゃないですかね小川先生……。300年間も防衛できていたダダーがすごいよ。

設定的にも解決できない部分を残すことでヒキがあるのも気になる。次はようやく1巻以降の話ということになるんでしょうか。と思って1巻のラストを読み返したら、いやーこれは厳しいですねー……。この展開から続きってどうありうるんでしょうか。気になるところです。