というわけで引っ越してnetflixに加入したところで、 Once Upon a Time というテレビドラマを見てたのだけど、これが面白い。脚本は『Lost』などの脚本をしてきたエドワード・キトシスとアダム・ホロウィッツ。
このドラマでは、昔話の物語と現代が交錯する。メイン州にある小さな街、ストーリーブルックに住むのは、実はおとぎ話の登場人物ばかり。ただし、邪悪な女王の呪いにより、人々は全てを忘れ、普通の日常生活を営んでいる。この呪いを解けるのはただ一人、白雪姫と王子様の間に生まれた女の子、エマ・スワン。彼女はまさに生まれたばかりのころに発動した女王の呪いをからくも逃れ、ひとり現代世界にやってきていた。
生まれたばかりで何も知らない彼女はそのままストーリーブルックとは関係なく現実世界で成長し、ボストンで生活していた。だが、そこにヘンリーという少年がやってくるところから物語は幕を開ける。ヘンリーはエマが19歳のときに産み、そのまま里子に出した実子だという。そしてヘンリーはエマをストーリーブルックに誘う。そして、全てを伝える。ストーリーブルックの人々は、記憶を失ったお伽話の登場人物たちであること。ヘンリーを引き取った義理の母が邪悪な女王であり、いまはストーリーブルックの市長であること。などなど。もちろん、普通に育ったエマには、そんなことはとても信じられない。だが利発そうな子、ヘンリーがそういうことを言っていたり、継母とうまく行ってなさそうなのは気にかかる。そこでストーリーブルックにしばらく滞在することを決意する……。
ちょっと長いあらすじだけど、これが基本設定。各エピソードでは、おとぎ話世界でその昔、彼らが行動したことと、現代のストーリーブルックでのことが交互に語られ、そもそも昔、何があったのかという謎と、ストーリーブルックでこれからどうなっていくのかということが少しずつ視聴者に明らかになっていくという趣向。
おとぎ話の世界はわりといろいろなんでも詰め込まれている。ベースとなるのは白雪姫と王子様、女王をめぐる物語だが、それもぼくらのよく知る白雪姫とはちょっと違う。女王の元を追われ、狩人に見逃してもらった白雪姫は盗賊をしており、王子様を襲撃するというかたちで最初の出会いがあるし、王子様と隣国ではシンデレラがいるけれど、シンデレラを助けるのは妖精の女王ではなくルンペルシュティルツヒェンだ。ルンペルシュテルツヒェンはその後もあちこちで顔を見せる主要キャラクターであることが次第にわかっていく。
そして、各キャラクターの過去が少しずつ語られていく。白雪姫と王子様がどう出会い、どのように結ばれ、毒のリンゴとキスによる復活はどう起こるのか。王子様はどのように生まれ育ったのか、女王はどうして邪悪に染まったのか、7人の小人はどのように白雪姫と出会ったのか、鏡の由来、などなど。時としてあまり関係のない、シンデレラやヘンゼルとグレーテル、マッドハッターなども顔を見せ、この物語の主要な謎を埋めていく。
一方で、現代パートも少しずつ物語が進んでいく。白雪姫はいまでは小学校でヘンリーのクラスを受け持っている。いっぽう、ボランティア参加の病院では、名前のわからぬ患者として王子様が昏睡状態で寝ている。狩人は保安官をしているし、赤ずきんはカフェでウェイトレスをしている。ここにエマがあらわれることで物ごとはどんどん変化していく。王子様だったデイビッドは目覚め、白雪姫だったメアリー・マーガレットとやはり恋に落ちる。でもデイビッドにはキャサリンという妻がいる。キャサリンはおとぎ話世界ではミダス王の娘で、王子様と婚約していたのだ。そして、そして……。
ようやく1シーズン全て(全22話)を見終わったところでは、意外と話としては一段落している。アメリカのドラマにありがちなように、きちんと完結して大団円というのではなくて、思いっきり「ヒキ」で終わってはいるのだけれど、上で書いたような基本設定はそれぞれきちんと謎が語られ、物語は終わりを迎える。気になる続きは、ただいま第2シーズンが放映中なようだけど、netflixではまだ見られないので見ていない。まあアメリカのドラマというのは、そうやってどこまで面白くなるのかはわからないもんだけども、少なくともこの第1シーズンは面白い。
そういうわけで、かなりオススメです。役者の中では、ヘンリー役のジャレッド・S・ギルモアがいい。利発そうな子供の役をこなしている。