2014-11-23

乾緑郎『機巧のイヴ』



機巧のイヴ

ちょっと珍しいタイプの時代小説風SF。スチームパンクというか、からくり細工とSFの組み合わせパターン、なのはそこだけ捉えるとありがちなんだけど、こういう世界観はあまり見ないかも。なかなか良かった。

牛山藩に使える江川仁左衛門は、幕府の精錬方手伝、釘宮久蔵を訪ねた。自分の想い人と瓜ふたつの機巧人形を作ってもらうために……という第1話め「機巧のイヴ」は読んでいて妙な既視感があるなぁ……と思ったらそういえば『年間SF傑作選』にて既読でした。機巧細工で人間さえも模倣できるスチームパンクの世界観の面白さと、ちょっと捻った結末が良い。

以降はこの釘宮久蔵を狂言回しにして、同一世界で機巧+時代小説な組み合わせの連作短編全5話という構成。ただし後ろ3話はわりとひとつながりのストーリーになっているので、第2話だけ少しすわりが悪いかな……一応ラストにまでもつながる展開ではあるんですが。

改めて1話めと比較すると少し違う感じになっていませんか?という文句も少し言いたくなる面はあって、「機巧のイヴ」が単体で面白いのと比べると後半は少し弱いとも言えるけれど、徐々に世界観が明らかになっていく後半の展開もこれはこれで別な面白さがあって良いと思いました。

オチは少し弱いかな。