2013-10-31

三沢陽一『致死量未満の殺人』

致死量未満の殺人

Kindleで読んだ。第3回アガサ・クリスティー賞受賞作、とのこと。

15年前、雪山の山荘で起きた女子大生の毒殺事件。その山荘に滞在していた男のひとりが、殺人の時効直前となるその日の夜に、自分の犯罪を告白しはじめる、という筋立てで、回想となる15年前のエピソードと現在のやりとりを行き来するというもの。

ただ、この展開はふつうかなと思う。読み始めてすぐ、まあでもこれだとふつうこういう展開だよな、となんの根拠もないが思っているような展開どおりに物事が進んでいくので、読んでビックリというようなことにはならない。

が、つまらないということはない。よく書けているし、細かい会話に仕掛けが仕込んであるのはうまい。雪山の山荘に大学生が、という、もはや目にしただけで「うえっ」となるような設定の畳み掛けみたいなのを逆手に取っているのも面白い。個人的には、もうちょっと現代パートの登場人物を増やすなど工夫するといろいろ面白かったんじゃないかという気もするのだが、うーん、わからん。これはこのほうが良いのかもしれない。

パッヘルベルのカノンをはじめとするいくつかの見立てというかカッコつけみたいな部分は、個人的にはちょっと鼻につく。というか、カノンがなにをどう象徴しているのかはイマイチよくわからないし、ぼくはクラシックはよく知らないが、パッヘルベルのカノンて室内楽として演奏され、ふつうは指揮者いないんじゃないか。でも、投稿時のタイトルからすると、そっちのほうが作者的にはキモだったのかなあ。うーん……。

などなど。

星5つをマックスとして星3つぐらいかな。

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